手術の"うまさ"(手技スキル)は術後合併症・予後に効く——古典的には肥満外科で、ビデオ評価による手技スコアの高い術者ほど合併症が少なかったことが報告された。だがスキル評価は今も指導医の主観や限られたビデオ審査に依存し、"うまさの正体"は言語化されていない。なぜ予後に効く因子が主観のまま放置されているのか、が出発点。
スキルは本来、器具の動きの軌跡・無駄のなさ・力加減の代理量・局面ごとの所作という「時空間の構造」を持つのに、1つの主観点数へ切り詰められてきた。動画から器具・解剖をセグメントし運動を時空間表現すれば、"うまさ"を客観量に分解でき、どの所作がアウトカムに効くかまで解ける、と仮説する。
数十〜数百時間の手術動画をフレーム単位で器具追跡・局面認識・動作特徴抽出するのは人手では不可能。動画から器具/解剖をセグメントし、運動の時空間表現を学習する=AIでしか到達できない粒度。単なる所要時間の集計では"うまさ"は見えない。
客観的スキル指標=外科教育の具体的フィードバック(どこを直せば安全か)、研修評価の標準化、術後合併症の先読みへ。出口は"主観点数"を再現可能な客観量に変える解析層。手術支援ロボット・内視鏡記録の普及で動画は今後さらに増える。