MOCKUP · SPReAD 1000 企画(外観イメージ) #92 · AI for Science/医療テーマ
#92

せん妄は「起きてから薬で抑える」が当たり前——病棟・ICUの多面的データからAIで発症を先読みし、「どの誘因を外せば防げたか」まで解く

🔬 delimap.research / delirium-causal-forecast
DeliMap — せん妄の先読み × 誘因の因果
研究プロトタイプ ・ 公開ICU-EHR+院内データを解析(匿名化・ダミー表示)
解析入院 18,400件
解析した入院
18,400
発症48hの先読み
AUC.88
▲ 時系列モデル
予防可能と推定
31%
▲ 誘因除去で回避可
同定した可変誘因
6因子
患者タイムライン:せん妄の先読みと、重なった誘因
ライン=較正済みのせん妄発症確率。下段=薬剤・睡眠・拘束・検査の時系列イベント。
1.00.50 せん妄発症確率(較正済み) 高リスク閾値 0.5 発症 CAM-ICU+ AIの読み ・ 較正確率 0.86 ベンゾ+夜間の睡眠分断+低Na が重なり 48hで高リスク。可変誘因=ベンゾ/睡眠/拘束。 薬剤睡眠拘束・検査 夜間覚醒 ×4 身体拘束 CRP↑ Na↓ 入院24h48h ・ 発症72h
せん妄発症確率 ▲ ベンゾ ◆ 抗コリン薬 睡眠分断 身体拘束 ▲▼ 検査異常
「外せば効く」可変誘因の寄与(反実仮想シミュレーション)
各誘因を取り除いた時の発症確率の低下(コホート平均)。■=この患者で該当した誘因。
1ベンゾジアゼピン曝露−18%
2夜間の睡眠分断(環境・処置)−14%
3身体拘束−11%
4抗コリン負荷(薬剤)−9%
5低ナトリウム血症−7%
↑ 研究コード名「DeliMap」。公開ICU-EHR+院内データ(匿名化・ダミー表示)から、
せん妄の発症を先読みし「外せば防げた可変誘因」を反実仮想で切り分ける完成イメージ。
病棟・ICUのバイタル・薬剤・睡眠・検査・看護記録を時系列で束ね、せん妄を発症前に先読み。さらに「どの可変誘因を外せば防げたか」を反実仮想で切り分け、予防可能なせん妄と機序を解明する——完成したらこう見える、の外観イメージ。
上限 500万円(直接経費) 学生応募可(医学生=当事者) e-Rad 応募 第2回・2026年6月上旬予定 分野:老年医学 × 集中治療 × 因果推論
🔬 問い・学術的背景

せん妄は入院患者の重大合併症で、転倒・死亡・認知機能の長期低下・在院延長に直結する。にもかかわらず臨床は「不穏が出てから抗精神病薬で抑える」事後対応が中心だ。素因(高齢・認知症・重症度)と誘因(薬剤・睡眠剥奪・感染・電解質・拘束・低酸素)が絡む病態だが、「どの誘因がこの患者を実際に傾けたか」は経験則で、機序も部分的にしか分かっていない。

🎯 仮説・新規性

既に多数ある「発症予測」で止めず、素因×誘因の相互作用を時系列で表し、「外せば発症確率が下がる可変誘因」を反実仮想で切り分ける。=「予測」から「予防可能なせん妄の同定と機序の解明」へ進める。国内データを含めた公開研究はまだ乏しい。

🤖 AI活用の必然性

バイタル・検査・薬剤曝露・睡眠覚醒・看護記録(自由文)という非同期マルチモーダル時系列の統合は人手では無理。非線形・個人差・時間依存の交絡を扱う。観察データの因果は単純な相関では誤る——鎮静薬は不穏の「結果」でも「原因」でもある(逆因果・適応交絡)——ため、因果推論と反実仮想が要る。

💰 500万円の使途
  • ① 公開ICU-EHR(MIMIC-IV/eICU)+国内1施設の後ろ向き匿名化データ整備
  • ② GPU計算・クラウド(時系列/因果モデル学習)
  • CAM-ICU/DOSラベルの質評価・専門家レビュー
  • ④ 因果グラフ・反実仮想の妥当性検証
  • ⑤ 倫理審査(IRB)・結果公開(プレプリント・可視化Web)
📈 期待成果・社会実装(出口)

発症前の「可変誘因アラート+寄与の説明」を電子カルテに重ねるCDSSプロトタイプと、予防可能せん妄の定量。出口は看護介入(睡眠保護・拘束最小化・薬剤見直し)への接続。Hiro自身が病棟でせん妄に向き合う医学生=臨床文脈とデータの両面で優位

※ 正直な関門:ラベルが弱い(CAM-ICUは記録漏れが多く後ろ向きラベルは不正確)。適応交絡で「薬→せん妄」の符号が反転しうる。施設間の一般化が難しい。観察データの因果は反証可能性が限られ、最終的にはクラスター無作為化など前向き検証が要る。所属大学のe-Rad機関登録・承認が前提で、第2回の公募要領は確定次第の確認が必要。
完成イメージ(ダミーデータ)・データ=公開ICU-EHR(MIMIC-IV/eICU)+院内(匿名化)/ 企画ログ → spread-plans.md #92