せん妄は入院患者の重大合併症で、転倒・死亡・認知機能の長期低下・在院延長に直結する。にもかかわらず臨床は「不穏が出てから抗精神病薬で抑える」事後対応が中心だ。素因(高齢・認知症・重症度)と誘因(薬剤・睡眠剥奪・感染・電解質・拘束・低酸素)が絡む病態だが、「どの誘因がこの患者を実際に傾けたか」は経験則で、機序も部分的にしか分かっていない。
既に多数ある「発症予測」で止めず、素因×誘因の相互作用を時系列で表し、「外せば発症確率が下がる可変誘因」を反実仮想で切り分ける。=「予測」から「予防可能なせん妄の同定と機序の解明」へ進める。国内データを含めた公開研究はまだ乏しい。
バイタル・検査・薬剤曝露・睡眠覚醒・看護記録(自由文)という非同期マルチモーダル時系列の統合は人手では無理。非線形・個人差・時間依存の交絡を扱う。観察データの因果は単純な相関では誤る——鎮静薬は不穏の「結果」でも「原因」でもある(逆因果・適応交絡)——ため、因果推論と反実仮想が要る。
発症前の「可変誘因アラート+寄与の説明」を電子カルテに重ねるCDSSプロトタイプと、予防可能せん妄の定量。出口は看護介入(睡眠保護・拘束最小化・薬剤見直し)への接続。Hiro自身が病棟でせん妄に向き合う医学生=臨床文脈とデータの両面で優位。