MOCKUP · SPReAD 1000 企画(外観イメージ) #84 · AI for Science/医療テーマ
#84

透析中の血圧低下は、なぜ「下がってから」しか対応できないのか——透析中低血圧をAIでオンラインに先読みし、「どの設定を変えれば防げたか」まで示す

🔬 nadir.research / dialysis-idh-ai
NADIR — 透析中低血圧をオンライン先読み
研究プロトタイプ ・ 匿名化透析記録で解析(ダミーデータ)
解析セッション 18.2万回
解析した透析セッション
18.2万回
IDH発生の外部検証
AUROC.84
内部.88→外部.84
予見リードタイム
9
中央値(血圧低下の前)
反実仮想で回避可能
38%
除水/Na/温度の設定調整で
1回の透析セッションで「崩れる前」を読む(オンライン監視)
青=収縮期血圧、緑=相対血液量(RBV)。AIは血圧が閾値を割る前に警告する。数値・波形はダミー。
開始 1時間 2時間 3時間 終了 収縮期血圧 相対血液量(RBV) ↓ IDH閾値 SBP90 ⚠ AIが約9分前に警告 IDH発生 SBP83
何が崩れの予兆だったか(説明可能性・寄与度)
「血圧が下がってから」でなく、下がる前に効いていた手がかりを生理の言葉に翻訳した上位特徴。
1相対血液量(RBV)の低下勾配が急.27
2設定除水速度(UFR)が高い.23
3直近10回のIDH頻度.18
4脈拍の代償性上昇(自律神経の不安定).16
5透析液Na・温度設定.11
「どの設定を変えれば防げたか」——反実仮想(counterfactual)
予測で終えず、操作可能な設定への処方に踏み込む。同じ患者・同じ回の仮想的なやり直し。
設定差分:UFR 0.9→0.6 L/h / 透析液 36.5→35.5℃ / Na 138→140 IDH閾値 実際(設定そのまま)→ IDH発生 反実仮想(除水↓・冷却・Naプロファイル)→ 回避
↑ 研究コード名「NADIR」。1回の透析の多変量時系列から透析中低血圧を数分前に先読みし、
さらに「どの設定を変えれば防げたか」を反実仮想で示した完成イメージ。
日本は約34.7万人の透析大国。透析中低血圧(IDH)は最も頻度の高い合併症なのに、現場は今も「血圧が下がってから」生理食塩水・除水減速という後手。AIで崩れる前に先読みし、さらにどの設定を変えれば防げたかまで示す——完成したらこう見える外観イメージ。
上限 500万円(直接経費) 学生応募可(医学生=当事者) e-Rad 応募 第2回・2026年6月上旬予定 分野:腎臓内科 × 医用AI
🔬 問い・学術的背景

除水(ultrafiltration)による血管内容量の低下で起きる透析中低血圧(IDH)は血液透析で最も頻度の高い合併症で、心血管イベント・死亡や透析の質低下に直結する。だが対応は今も「下がってから」の後手。院内急変の先読みや個別化setpointとは対象が異なり、これまで全企画で空白だった血液透析の分単位の生体時系列そのものを問う。

🎯 仮説・新規性

IDHはランダムでなく、血圧・相対血液量(RBV)・除水速度・透析液Na/温度・脈拍の多変量軌跡に崩れの予兆が刻まれる。新規性は「予測」でなく反実仮想——「除水速度/透析液Na/温度のどれをどう変えれば防げたか」という操作可能な設定への処方を、較正済み確率付きで数分前に出す点。

🤖 AI活用の必然性

1回の透析が密な多変量時系列で、週3回×年単位の個人内反復がある。これをオンライン逐次モデルで統合し、しかも「医療者が予兆を見て先回り介入する」ために生じる治療パラドックス(ラベル汚染)を解くには、単なる分類でなく因果推論が要る=集計や単発の閾値では到達できない。

💰 500万円の使途
  • ① 国内多施設の匿名化透析記録(装置ログ含む)での開発・外部検証
  • ② オンライン時系列予測と確率較正
  • 「どの設定で防げたか」の反実仮想・因果推論の方法論
  • 装置・施設をまたぐ較正
  • ⑤ 倫理審査(IRB)・結果/コード公開
📈 期待成果・社会実装(出口)

較正済みの「数分先IDHリスク+設定提案」の判断支援(臨床工学技士・透析医向け)と公開コード。出口は透析中の苦痛・血圧低下イベントの低減=世界最多級の日本の透析現場に効く。診断・処置は医療者が担い、SaMD規制の対象。

※ 正直な関門:IDHのML予測は2025年の系統的レビュー(16研究)で既に存在しAUROC約0.89と報告され完全な空白ではない=差別化は反実仮想・施設横断較正・ドライウェイト個別化に絞る必要。さらにRBV(血液量)ガイドのバイオフィードバック透析装置は既に市販で「予測して止める」だけでは弱い。最大の難所は治療パラドックス——先回り介入のため「介入しなければ本当に下がったか」が観測できず因果評価が原理的に困難。装置ログは各社プロプライエタリでデータ取得・標準化が律速。前向き検証必須。学生応募でも所属大学のe-Rad機関登録・承認が前提、第2回の公募要領は確定次第の確認が要る。
完成イメージ(ダミーデータ)・企画ログ → spread-plans.md #84