MOCKUP · SPReAD 1000 企画(外観イメージ) #83 · AI for Science/医療テーマ
#83

分娩の進み具合は、なぜ70年前の「1本の平均曲線」で測られ続けるのか——パルトグラムをAIで個別化し、「緩徐だが正常」と「真の分娩停止」を見分ける

🔬 partus.research / labor-progression-ai
PARTUS — 分娩進行をAIで個別化
研究プロトタイプ ・ 多施設の匿名化パルトグラムで解析(ダミーデータ)
解析した分娩 4.2万件
解析した分娩経過
4.2万件
分娩停止の外部検証
AUROC.82
内部.86→外部.82
予見リードタイム
1.8時間
停止宣言が出る前に
説明可能性で同定
12因子
下降・収縮・回旋ほか
この産婦の分娩進行 ―― 70年前の平均線(WHOパルトグラム)に重ねる
●=内診で測った子宮口の開大。点線=AIが直近から先を逐次予測。数値はダミー。
10864 子宮口 cm 02時間4時間6時間 現在 WHO警告線 WHO処置線 実測(開大が停滞) 正常なら届く域 AI:分娩停止リスク高
「停止」を駆動している因子(説明可能性・寄与度)
単に遅いのではなく、なぜ進まないか――AIが重く見た上位の規定因子。
1児頭下降の停滞(station が不変).31
2子宮収縮の不足(<3回/10分・微弱陣痛).24
3児頭の回旋異常(後方後頭位 OP の示唆).18
4児頭骨盤不均衡の示唆(推定児体重).15
5直近2時間の開大速度の鈍化.12
1本の平均線 vs 個別化した正常域 ―― ここが研究の核
同じ「遅い」でも、個別化域の内なら正常(帝切を回避)、外なら真の停止(介入)。ダミー。
個別化した正常域 Friedman平均(1本) 緩徐だが正常 → 帝切回避 真の分娩停止 → 介入 経過時間 → 開大
↑ 研究コード名「PARTUS」。70年前の1本の平均パルトグラムをAIで個別化し、
「緩徐だが正常」と「真の分娩停止」を見分け、なぜ停まるかを説明する完成イメージ。
分娩の進み具合は今も1950年代の Friedman 曲線に由来する「1本の平均線」(WHOパルトグラム)で測られる。だが Cochrane はそれが帝王切開も母児転帰も改善しないと報告。AIで分娩進行を個別化し、「緩徐だが正常」と「真の分娩停止」を見分け、なぜ停まるのかを解明する——完成したらこう見える外観イメージ。
上限 500万円(直接経費) 学生応募可(医学生=当事者) e-Rad 応募 第2回・2026年6月上旬予定 分野:産科 × 医用AI
🔬 問い・学術的背景

分娩進行は今もFriedman 曲線(1cm/時・1本の平均)に基づくWHOパルトグラムで管理される。だが Zhang らは現代の分娩がこの曲線に従わないと示し、Cochrane はWHOパルトグラムが帝王切開・母児転帰を改善しないと報告。胎児心拍CTG中心の研究や胎児発育の評価とは別に、母体側の「分娩進行そのもの」を問い、個別化基準の発想を分娩に持ち込む。

🎯 仮説・新規性

分娩進行は単一平均でなく、母体・胎児因子で条件づけた「個別化した正常軌跡」として表せ、内診のたびに逐次更新するオンライン予測で「緩徐だが正常」と「真の分娩停止」を分離できる、と仮説する。二値分類でなく動的な軌跡+反実仮想に踏み込む点が新規。

🤖 AI活用の必然性

内診は間欠的・主観的で「点」しか得られない。子宮口開大・児頭下降・陣痛・児頭位置・母体因子の多変量時系列を生存時間/逐次ベイズで統合し個別化軌跡を描くのは、集計や単一曲線では不可能。説明可能AIでどの因子が停止を駆動するかを抽出する。

💰 500万円の使途
  • ① 国内多施設の匿名化パルトグラム/分娩記録での開発・外部検証
  • ② 時系列・生存時間モデルと逐次更新の実装
  • 説明可能性解析(停止の規定因子)
  • 「治療パラドックス」(帝切後の反実仮想)の方法論検討
  • ⑤ 倫理審査(IRB)・結果公開
📈 期待成果・社会実装(出口)

「個別化した分娩進行曲線」と較正済みの分娩停止リスク=学会・論文・公開コード。出口は産科医の判断支援で、不要な帝王切開と分娩停止の見逃しの両方を減らす。診断・処置は産科医が担い、SaMD規制の対象。

※ 正直な関門:MLによる分娩停止(cephalic dystocia)予測は2025年に既に登場し完全な空白ではない=差別化は動的軌跡・反実仮想・日本人較正に絞る必要。最大の難所は治療パラドックス——帝切すれば「待てば経腟分娩できたか」は永遠に観測できず、因果評価が原理的に困難。パルトグラムは手書き・欠測が多くデータ品質が律速。アウトカム(分娩停止/帝切)自体が臨床判断で絶対の正解ラベルが無い。学生応募でも所属大学のe-Rad機関登録・承認が前提、第2回の正式日程・公募要領は確定次第の確認が要る。
完成イメージ(ダミーデータ)・企画ログ → spread-plans.md #83