AIは一見正常な洞調律ECGから将来の心房細動(新規発症 AUROC≈0.69–0.85)や低心機能(低EF)・弁膜症を予測できると次々示された。だが「なぜ当たるのか」は未解明のブラックボックスで、商用FDA品(低EF検出・2023)も“検出”に留まる。同じ生体信号でも心拍間隔(HRV)や脳波とは対象が異なり、ECG波形そのものに潜む前臨床サインの正体を問う。
AIが見ている微細な手がかり(P波形態・再分極のゆらぎ・拍動間の微変動)は、心房リモデリングや心室機能低下の「前臨床の足跡」として生理学的に接地でき、二値の「リスクあり/なし」でなく発症までの時間(time-to-onset)の縦断軌跡として定式化できる、と仮説する。検出器の模倣でなく機序と時間軸に踏み込む点が新規。
µV単位・拍動間の超微細パターンは人の目では読めず、数十万件規模のECG×転帰でしか立ち上がらない。説明可能AI(saliency・概念ベース解析)で「どの誘導・どの心拍内タイミング」が効くかを抽出し、電気生理の機序仮説へ翻訳する=集計や既存指標では到達できない粒度。
「正常ECGに未来が書かれている機序マップ」と、外部・単誘導でも崩れにくい較正済みの発症前リスク=学会・論文・公開コード。出口は健診ECGの“オポチュニスティック”再活用(撮ってあるのに使い切れていないECGから先回り)。診断・治療は循環器医が担い、SaMD規制の対象。