新生児聴覚スクリーニング(NHS)は出生後早期に自動ABR(AABR)やOAEで「パス/リファー(要精密)」を機械判定するが、出力は二択で、波形が持つ情報(潜時・振幅・閾値曲線・難聴のタイプ)はほぼ捨てられている。リファーの多くは中耳の残存羊水など一過性要因による偽陽性で家族の不安と再検査コストを生む一方、本当の先天性難聴(約1/1000)やANSD(聴神経の同期不全)の見落とし・精密検査からの脱落(lost to follow-up)も課題。Hiroは産科・小児科・耳鼻科実習で新生児聴覚を当事者として診る立場。
パス/リファーの二択でなくABR波形の全情報(多音圧の潜時–振幅・波形形態・閾値)をAIでモデル化すれば、①閾値の自動推定精度を上げ、②伝音性/感音性/ANSDの難聴タイプを早期に示唆し、③一過性要因による偽陽性リファーを切り分けて再検査を減らせると仮説する。AABRの自動判定自体は普及済みだが、波形を捨てずタイプ推定+偽陽性削減+脱落予測まで一気通貫で繋ぐのは新規。
ABRは微小電位(μV単位)で背景雑音に埋もれ、新生児では体動・筋電・心電が容易に混入する。多音圧の波形群から閾値と波形形態を同時推定するのは固定テンプレート照合では限界がある。ノイズ下の微小誘発電位の検出と潜時・振幅の動的パターン分類はAIの必然。
「波形→推定閾値・難聴タイプ・偽陽性確率→精密検査の優先度と脱落リスク」を示す較正トリアージで、不要な再検査を減らしつつ本当に難聴のある児を確実に早期療育へ繋ぐ(難聴は療育開始が早いほど言語発達の予後が良い)。診断は専門医に委ね、本企画は波形の構造化と要精密度の提示に限定。将来は乳幼児の聴覚モニタや他の誘発電位(ASSR等)へ横展開。Hiroは医学生×エンジニアで生理信号処理と臨床の両面が効く。