MOCKUP · SPReAD 1000 企画(外観イメージ) #58 · AI for Science/医療テーマ
#58

院内の急性腎障害は「どこまで防げたか」——EHRの時系列からAKIを予測し、可変要因への反実仮想で「予防可能なAKI」を切り分ける

🔬 nephroguard.research / preventable-aki
NEPHROGUARD — 院内AKIの予防可能性AI
研究プロトタイプ ・ EHR時系列からAKIを予測し、可変要因への反実仮想で予防可能なAKIを切り分け(ダミーデータ)
解析 5.2万入院 ・ 多施設・縦断
解析した入院
5.2万件
多施設・縦断EHR
AKI発症の予測
AUC.88
時系列・48時間前
単純警告(従来)
AUC.74
▲ アラート疲れ
外部・別施設で
AUC.79
▲ 移行が課題
血清クレアチニンの軌跡+回避シナリオ(反実仮想)/リスクの内訳(ダミー)
紺の実線=実測Cr。可変要因(腎毒性薬・造影・脱水)が重なるとしきい値(1.5×ベースライン)を割り込みAKIへ。緑の破線=「Day2で腎毒性薬を中止していたら」の反実仮想。両者の差=防げた上昇分。右の棒=AI推定リスクの内訳で、橙=可変要因=予防可能な寄与。
AKI領域 AKIしきい値 1.5× ベースラインCr Day2 NSAIDs+造影 AKI発症 防げた分 入院日数 → 血清Cr リスクの内訳 予防可能 ≈0.42 回避で↓ 非可変
実測Cr 回避シナリオ しきい値 AKI領域 可変要因
血清Cr 2.1mg/dL(base 0.9)上昇
尿量 0.4mL/kg/h乏尿
可変要因 3腎毒性薬・造影・脱水重複
AI推定 AKI病期(KDIGO)
なし123
AKI発症リスク / うち予防可能
推定 0.61
うち可変要因の寄与 ≈0.42(予防可能)・腎毒性薬の中止+輸液で回避見込み ・ ※診断でなく主治医・腎臓内科の判断支援に限定
AKIリスク・予防可能性への寄与(要因・上位)
値=EHRの機械学習で発症/予防可能性に効いた寄与(反実仮想・SHAP、ダミー)。単一指標でなく「可変要因の寄与の分解」と「施設をまたぐ移行」が本丸。※印=非可変または一部のみ可変。
1腎毒性薬の併用(NSAIDs・一部抗菌薬・利尿薬)72%
2造影剤の曝露(投与量・タイミング)60%
3血管内容量の低下(脱水・出血・過利尿)54%
4ベースライン腎機能(eGFR・CKD)※非可変46%
5敗血症・循環不全の重症度 ※一部可変38%
↑ 研究コード名「NEPHROGUARD」。EHRの時系列からAKIを予測し、可変要因への反実仮想で
「予防可能なAKI」の寄与と回避シナリオをAIで描いた完成イメージ。
院内の急性腎障害(AKI)を予測するだけでなく、可変要因(腎毒性薬・造影・脱水)への反実仮想「予防可能なAKI」を切り分け、回避シナリオを示す——完成したらこう見える、の外観イメージ。
上限 500万円(直接経費) 学生応募可(医学生=当事者) e-Rad 応募 第2回・2026年6月上旬予定 分野:腎臓内科 × 因果機械学習・EHR時系列
🔬 問い・学術的背景

入院中の急性腎障害(AKI)は入院の1割前後に起き予後を大きく悪化させるが、今も「Crが上がってから対応」が常態。EHRからのAKI発症予測は既に多数あり(48時間前予測、腎毒性薬のジャストインタイム警告NINJA等)、予測そのものはもう新規ではない。だが臨床と患者の本当の問いは「このAKIは防げたのか、何を変えれば防げたか」。医学生Hiroは病棟で、NSAIDs・造影剤・脱水・RAS阻害薬が重なってCrが上がるのに介入が後手になる場面に当事者として向き合う。

🎯 仮説・新規性

発症の有無を当てるだけでなく、患者ごとに「可変要因(腎毒性薬・造影・低容量)を止めていたら」の反実仮想でリスクの寄与を分解し、"予防可能なAKI"の割合と回避シナリオを個別に推定できる、と仮説。さらに施設をまたいで移行(transport)する点を新規性に。「発症予測」から「予防可能性の推定」へ視点を移す。

🤖 AI活用の必然性

不規則・多変量・欠測だらけのEHR時系列、競合リスク、そして「重症者ほど腎毒性薬を使う」適応交絡を扱うには、時系列深層学習×因果推論が要る。単変量ルールや単純アラートでは"予防可能性"の寄与は分解できない=AIでしか届かない粒度。

💰 500万円の使途
  • ① 多施設の匿名化EHR(検査・処方・バイタル・尿量・転帰)の利用申請と整備・倫理審査
  • ② 時系列+因果モデルの計算(GPU)
  • ③ 腎臓内科医による"予防可能性"アノテーションと妥当性検討
  • ④ 別施設での外部較正と回避シナリオUI試作
  • ⑤ プレプリント・可視化Web・公開
📈 期待成果・社会実装(出口)

「予防可能AKIの寄与+回避シナリオ」を示す指標と試作=学会・論文。出口はまず院内の医療安全・QI(腎毒性レビュー、輸液・造影の最適化)の支援、次に較正済みのSaMD。最終判断は主治医・腎臓内科が担い本企画は支援に限定Hiroは腎臓内科を学ぶ医学生=当事者で、薬剤性・造影後のAKIは身近な空白。

※ 正直な関門:観察データからの反実仮想は適応交絡(confounding by indication)が宿命で、「腎毒性薬を止めれば防げた」という因果効果の同定には強い仮定か準実験デザイン(操作変数・自然実験)が要り、前向き介入なしに効果は確証できない。"予防可能"のゴールドスタンダード自体が曖昧。AKI定義(KDIGO)はベースラインCrや尿量の欠測に左右され、アラート疲れも既知。診療実装はSaMD規制の対象で、学生応募は所属大学のe-Rad機関登録・承認が前提、第2回の正式日程は確定次第の確認が必要。
完成イメージ(ダミーデータ)・参照=多施設の匿名化EHR(検査・処方・尿量・転帰)・時系列/因果モデル・KDIGO / 企画ログ → spread-plans.md #58