入院中の急性腎障害(AKI)は入院の1割前後に起き予後を大きく悪化させるが、今も「Crが上がってから対応」が常態。EHRからのAKI発症予測は既に多数あり(48時間前予測、腎毒性薬のジャストインタイム警告NINJA等)、予測そのものはもう新規ではない。だが臨床と患者の本当の問いは「このAKIは防げたのか、何を変えれば防げたか」。医学生Hiroは病棟で、NSAIDs・造影剤・脱水・RAS阻害薬が重なってCrが上がるのに介入が後手になる場面に当事者として向き合う。
発症の有無を当てるだけでなく、患者ごとに「可変要因(腎毒性薬・造影・低容量)を止めていたら」の反実仮想でリスクの寄与を分解し、"予防可能なAKI"の割合と回避シナリオを個別に推定できる、と仮説。さらに施設をまたいで移行(transport)する点を新規性に。「発症予測」から「予防可能性の推定」へ視点を移す。
不規則・多変量・欠測だらけのEHR時系列、競合リスク、そして「重症者ほど腎毒性薬を使う」適応交絡を扱うには、時系列深層学習×因果推論が要る。単変量ルールや単純アラートでは"予防可能性"の寄与は分解できない=AIでしか届かない粒度。
「予防可能AKIの寄与+回避シナリオ」を示す指標と試作=学会・論文。出口はまず院内の医療安全・QI(腎毒性レビュー、輸液・造影の最適化)の支援、次に較正済みのSaMD。最終判断は主治医・腎臓内科が担い本企画は支援に限定。Hiroは腎臓内科を学ぶ医学生=当事者で、薬剤性・造影後のAKIは身近な空白。