臨床検査の基準範囲は多数の健常者から定めた集団の幅で、個人の平常値(setpoint)はもっと狭い。そのため集団基準ではまだ正常でも、その人にとっては既に有意な逸脱(例:基準内でじわじわ上がるクレアチニン=早期の腎機能低下)を見逃しうる。基準値・基準範囲は医学生が検査医学で必ず学ぶ当事者領域で、健診・日常診療のあらゆる科に関わる。
縦断的な検査データに個人内変動・恒常性のモデルを当てれば、(1)一人ひとりの個別基準(personal reference interval / setpoint)を推定でき、(2)集団基準では正常範囲内の早期逸脱を検知でき、(3)複数検査の同時逸脱パターンから疾患の芽を層別化できる、と仮説。「正常とは誰にとっての正常か」を問い直し、個別化基準を体系化する点が新規。
個人差・日内/季節変動・検査間の相関・欠測の入り混じる不揃いな縦断データから各人の恒常的setpointと逸脱を捉えるのは、固定の基準範囲や単純な統計では難しく、個人内をモデル化する機械学習でしか再現性高く定量できない。
個別基準の妥当性+早期逸脱の的中・リードタイム+過剰検査の低減=学会発表・論文。出口はまず健診・慢性疾患フォローでの個別化アラート補助(人の判断は残す)、将来は電子カルテ/健診システムへの個別基準の組み込み。Hiroは検査値を学ぶ医学生=当事者で、時系列データ分析の素養も活きる。