MOCKUP · SPReAD 1000 企画(外観イメージ) #112 · AI for Science/医療テーマ
#112

多発性硬化症の「くすぶる炎症」を縦断MRIで先回りする——常磁性リム病変をAIで装置非依存に表現し、再発と無関係に進む障害(PIRA)を読む

🔬 myelitrace.research / smoldering-ms-mri
MyelinTrace — くすぶり病変の縦断MRI表現
研究プロトタイプ ・ 多施設MRIを装置非依存に解析(ダミーデータ)
解析 6,800 枚
縦断MRIスキャン
6,800
追跡(中央値)
3.4
PRL 自動同定
AUC.88
▲ 目視 κ.41
PIRA予測(2年)
AUC.81
▲ 装置非依存
同じ患者の脳MRIを縦断で重ねる(再発が無くても“くすぶり”は進む)
明るい点=白質病変。二重リング=常磁性リム病変(PRL=鉄を貯めた慢性活動性=くすぶり病変)。12か月後、臨床的な再発が無くてもPRLは緩徐に拡大し、新規病巣も出る。
ベースライン 12か月後(臨床的な再発なし) PRLが拡大 =くすぶり進行 新規病巣
通常の白質病変 常磁性リム病変(くすぶり) 新規・拡大病巣
「再発と無関係に進む障害(PIRA)」への寄与シグネチャ(モデル推定)
今の治療が標的にする“急性の再発活動性”は、長期の障害進行にはむしろ弱く効く——という乖離をデータで可視化。
1常磁性リム病変(PRL)の個数・体積鉄を貯めた慢性活動性病変.72
2脊髄の萎縮・潜在病巣日本人で効きやすい指標.61
3緩徐拡大病変(slowly expanding lesion)縦断でしか見えない.55
4皮質病変目視で見落とされやすい.43
5造影増強病変(=急性の再発活動性)今の治療の主標的だが進行への寄与は弱い.19
↑ 研究コード名「MyelinTrace」。脳(+脊髄)MRIの常磁性リム病変と病巣動態を装置非依存に表現し、
再発と無関係に進む障害(PIRA)を先回りする完成イメージ。数値はダミー。
多発性硬化症は再発を抑える治療が中心だが、車椅子へ近づくのは多くが再発と無関係に進む障害(PIRA)。その駆動源とされる常磁性リム病変(くすぶり病変)を縦断MRIから装置非依存にAIで表現し、誰の治療を急ぐべきかを先回りする——完成したらこう見える、の外観イメージ。
上限 500万円(直接経費) 学生応募可(医学生=当事者世代) e-Rad 応募 第2回・2026年6月上旬予定 分野:神経免疫 × 医用画像AI
🔬 問い・学術的背景

MSは「再発寛解」で語られ、治療も急性再発の抑制が中心。だが2020年代に、障害蓄積の多くが再発と独立に進む(PIRA)ことが明確になった。その実体とされるのが、辺縁に鉄を貯めた活性化ミクログリアが居座る常磁性リム病変(PRL=慢性活動性/くすぶり病変)。PRLは予後不良の独立した画像バイオマーカーだが、専用のsusceptibility撮像と定量が要り、日常診療では数えられていない

🎯 仮説・新規性

縦断の脳(+脊髄)MRIから、①新規・拡大病巣の自動検出 ②PRLの自動同定・定量 ③再発由来の炎症成分と神経変性(PIRA)成分の分離を、ひとつの装置非依存の表現として学べる、と仮説する。新規性は、病巣の「有無・個数」でなく“くすぶりの強さ”を連続量で捉え、脳病巣が乏しい視神経脊髄型やNMOSD/MOGADの鑑別を含めて日本人で較正する点。欧米の脳病巣前提モデルはこの表現型で当てにならない。

🤖 AI活用の必然性

PRLは目視で見落とされ、判読者間一致も低い。さらに susceptibility 信号は施設・磁場(1.5T/3T/7T)で変わるため、装置間ハーモナイズは本質的に機械学習の問題。新旧2時点の微細な病巣変化の検出や、画像と障害(EDSS)の乖離(clinical-radiological paradox)を埋める表現学習は、集計や単純なしきい値では到達できない。

💰 500万円の使途
  • ① 多施設・複数磁場の装置間ハーモナイズ実験(ファントム/共通被験者)
  • ② 既存研究画像の二次利用+少数の専門家アノテーション(PRL・新規病巣)
  • ③ GPU計算(自己教師あり事前学習)
  • ④ 神経内科・放射線科との共同、倫理審査(IRB)・データ管理
  • ⑤ 結果公開(プレプリント・可視化Web)

※ MRI装置は既設を使い、新規購入はしない。

📈 期待成果・社会実装(出口)

出口は、「治療強化を急ぐべき人」の層別(PRLが多くPIRAリスクが高い人を早期に高効力薬へ)と、治験のサロゲート指標。後ろ向き検証 → 読影補助プロト → 前向き較正の順で。日本人の表現型(視神経脊髄型・NMOSD/MOGAD)で公平に評価する基盤を残す。Hiro自身が医学生=当事者世代(MS発症は若年成人に多い)でドメイン理解に優位。

※ 正直な関門:縦断データが希少(年単位の追跡が要る)でアノテーションが高コスト。PRLの定義・撮像が施設依存で正解ラベルが揺れる。疾患修飾薬が自然経過を変える交絡があり、MS自体が低有病率(日本は欧米より少ない)でNが集まりにくい(NMOSD/MOGADの鑑別も要る)。主要アウトカムのEDSSも粗くノイズが多く短期決着は難しい——まず装置間再現性の確立が先。学生単独でも応募可だが所属大学のe-Rad機関登録・承認が前提。
完成イメージ(ダミーデータ)・分野=神経免疫イメージング/縦断MRI表現学習 → spread-plans.md #112