MOCKUP · SPReAD 1000 企画(外観イメージ) #109 · AI for Science/医療テーマ
#109

純音聴力図の数点では「会話の聞き取り」は測れない——機能的聴覚プロファイルで認知症の最大の修正可能リスクを先回りする

🔬 audiome.research / functional-hearing-field
AUDIOME — 機能的聴覚プロファイル
研究プロトタイプ ・ 健診/コホートの聴覚データを解析(ダミーデータ)
解析プロファイル 12,800件
解析した聴覚プロファイル
12,800
立ち上がった聞こえの型
6
純音正常でも会話困難
22%
▼ 純音だけでは見落とし
3年後の認知低下 予測
AUC.79
▲ 縦断アウトカムに接地
純音聴力図(右耳)— 高音漸減型だが「軽度〜中等度」
純音平均(1・2・4kHz)=36dB。ここだけ見ると軽症に見える。だが下のグラフのとおり雑音下では会話に困る。
正常域 0–20dB スピーチバナナ 020406080 聴力レベル dB HL 2505001k2k4k8k 周波数 Hz 高音から落ちる(加齢性)
正常域(0–20dB) 会話音が分布する帯 右耳の閾値(〇=右)
雑音下の語音明瞭度(同じ人)— ここで初めて「困る」が見える
騒音に対する声の大きさ(SNR)を変えながら正答率を測る。50%正答に要するSNR=SRT。本人は健聴より +10dB のSNRを要する。
50%正答(SRT) 100500 正答率 % −12−60+6+12 SNR(騒音に対する声の大きさ)dB SRT差 +10dB
健聴の予測曲線(SRT −6dB) 本人=隠れ難聴(SRT +4dB) 純音では見えない差
↑ 研究コード名「AUDIOME」。純音+雑音下語音などを統合した機能的聴覚プロファイルで、
「純音は軽症でも会話に困る隠れ難聴」を可視化し、認知低下リスクに接地した完成イメージ。
難聴は認知症の最大の修正可能リスク(Lancet 2024)。だが臨床の聴力評価は純音聴力図の数点に切り詰められ、「会話で困る聞こえ」は測られない。雑音下語音まで含む機能的プロファイルをAIで表現し、認知低下・転倒を先回りする——完成したらこう見える、の外観イメージ。
上限 500万円(直接経費) 学生応募可(医学生=当事者) e-Rad 応募 第2回・2026年6月上旬予定 分野:聴覚科学 × 老年医学/認知症予防
🔬 問い・学術的背景

2024年のLancet認知症委員会は、修正可能な14因子で全認知症の約45%が予防可能とし、その中で難聴を中年期以降で最大の単一リスク(約7%)に位置づけた。しかし臨床の聴覚評価は純音聴力図(周波数×dBの数点)に切り詰められ、雑音下の語音明瞭度・時間分解能・中枢聴覚処理という「実際の会話で困る聞こえ」は測られない。純音が正常でも会話に困る"隠れ難聴(hidden hearing loss)"を拾えないのが課題。

🎯 仮説・新規性

純音+雑音下語音+OAE+自記オージオ+時間処理課題を統合した「機能的聴覚プロファイル」を表現学習で一つの潜在空間に写像すると、純音だけでは見えない聞こえの"型"が立ち上がり、その後の認知機能低下・社会的孤立・転倒を予測できる、という仮説。数個の閾値でなく多モーダル・縦断のプロファイルとして扱う点が新規。新生児聴覚スクリーニング(#73)とは対象が、脳年齢(#23)・分子イメージング(#103)とは入口が異なる。

🤖 AI活用の必然性

多モーダルで個人内変動が大きく非線形な聴覚データを、数個の閾値でなく高次元の潜在表現として捉え、縦断の認知・転倒アウトカムに接地するには、表現学習+時系列モデルが要る。単純な集計やPTA1値では「会話の困りごと」と「将来の認知低下」は結べない。

💰 500万円の使途
  • ① 既存コホート/健診の聴力・語音データ二次利用の整備・匿名化
  • 雑音下語音課題アプリの実装と小規模前向き取得
  • ③ 表現学習モデルの開発(GPU計算)
  • ④ 認知・転倒・孤立アウトカムとの接地解析と日本人較正
  • ⑤ 倫理審査(IRB)・結果公開(プレプリント・可視化)
📈 期待成果・社会実装(出口)

健診・かかりつけに組み込める短時間の機能的聴覚チェックと、補聴器適合・語音リハの入口最適化。日本の超高齢社会での認知症・フレイル予防の一次データになる。聴覚は「測って・介入できる」数少ない修正可能リスクで、出口(補聴・リハ)が既にある点が強い。

※ 正直な関門:難聴と認知の因果は未確定(共通要因・逆因果・社会的孤立の媒介)。介入の決定的証拠とされるACHIEVE試験(Lancet 2023)は、一般高齢者では3年で認知低下を抑制できず、認知症リスクが高い集団でのみ約48%抑制——効果は限定的。純音正常者向けの雑音下語音課題は標準化が未熟で、家庭の雑音管理も難しい。聴覚×認知の国内縦断データは乏しく較正が要る。世界初は名乗らず、既存研究の上に「機能的表現+日本人較正」で差別化する。
完成イメージ(ダミーデータ)・元データ資産=健診/コホートの聴覚検査 / 企画ログ → spread-plans.md #109