聴診は身体診察の核だが、熟練医の「聞き分け」は典型的な暗黙知で、何を手がかりにしているかは言語化されていない。弁膜症は高齢化で増えるのに、初診で聴診から拾えるかは術者依存で再現性が低い。心音から弁膜症の音響特徴を大規模・定量的に解明し、「人間に聞き分けにくい帯域・タイミング」を可視化した日本語の公開研究は乏しい。
心音をメルスペクトログラム+系列モデルで表現し心エコー所見を教師ラベルにすれば、(1)弁膜症(AS・MR等)を高精度に検出でき、(2)診断に効く音響特徴(雑音の時相・周波数・S1/S2との関係)を抽出でき、(3)「熟練医が聴いている/初学者が聞き逃す」差分を可視化できる、と仮説。日本語臨床・心エコー教師・暗黙知の音響的解明という設計は新規(海外はCirCor/PhysioNet等の英語データ中心)。
心音は微弱・非定常で個人差・雑音が大きく、診断手がかりは数十msの時相と特定周波数に宿る。スペクトログラム表現+深層系列モデル+顕著性(saliency)解析で初めて、人手では不能な規模・粒度で音響特徴を同定し「何が聞き分けを支えるか」を逆解析できる。心エコーとの対応付けで因果の手がかりも得る。
日本語・心音の弁膜症検出ベンチマーク+「聞き分けの音響的根拠」マップ=学会発表・論文。加えて医学生・研修医向けの聴診学習フィードバック(自分が聞き逃す帯域を可視化)。Hiroは医学生=聴診を学ぶ当事者で、初学者がどこでつまずくかを内側から設計できる。