医療事故は単一の失敗でなく、Reasonの「スイスチーズモデル」が示すように複数の防護の穴が一直線に揃ったときに起きる。病院には膨大なインシデント報告(自由記述)が蓄積するが、多くは集計・分類止まり。「どの潜在要因が・どの工程で・どう連鎖して重大化するか」を大規模・定量的に構造化した日本語の公開研究は乏しい。
報告文をNLPで構造化すれば、(1)害の重大度(harm)を高精度に予測でき、(2)復唱欠落・類似名称薬・確認省略などの潜在リスク要因を型として抽出でき、(3)それらの共起・連鎖を「揃いつつある穴」として前兆検出できる、と仮説。日本語・大規模・スイスチーズ的な潜在リスク構造の軌跡化は新規(海外はFDA MAUDE等の英語が中心)。
報告は非定型で量が膨大(年数万件規模)、かつ重大化は要因の組合せで起きる。文埋め込み・重大度回帰・要因抽出・共起グラフを組み合わせて初めて、人手集計では見えない潜在リスクの連鎖と前兆を捉えられる。LLMの要因タグ付けと専門家判定の一致検証、報告バイアスの補正もAIで扱う。
日本語・医療安全報告の重大度予測ベンチマーク+潜在リスク構造マップ=学会発表・論文。加えて安全管理部門向けの「揃いつつある穴」前兆アラート試作。Hiroは医療安全教育を受ける医学生・報告の当事者で、現場の報告文化と書かれ方の癖を内側から設計できる。